2011年9月10日土曜日

HD解像度(768x1024)の自炊利用



・文庫本を自炊(スキャナで画像化)して電子ペーパーで読みたい
・その際、iriver story HDと、Kindle3ではどれほど表示に差があるのかわからない

という質問を頂いたので私なりにiriver storyHDの解像度、画面表示能力について解説記事書いてみます。


自炊(紙文書をスキャナで画像化)とは、結局、『印刷された文字を画面で読む』ということです。


文庫本・書籍・コミックなどの印刷文字と、電子ペーパー・PCディスプレイ・タブレット・スマートフォンなどの画面文字は全く違います。
また、文字の可読性について「全く読めない ・ なんとか読める ・ 普通に読める・正しい文字で読める 」も人によって解釈が全く違います。
まず、これらについて理解をして頂きたいと思います。


『E』 『言』 『警』 例として、この3つ文字で説明します。

最初の文字はアルファベットのE(イー) です。 この文字には1本の縦線と3本の横線があり、真ん中の横線の上下には空間があります。欧米人・日本人・世界共通の文字であり、一般的に誰でも読み書きる文字です。これは「正しい文字で読める」ということです。

次の文字は 日本語で、言う、言葉、 ごんべん の『言』という文字です。 このブログを読んでいる皆さんの画面では、4本の横線と下部の『口』部分を含めて6本の横線があり、それぞれの横線の間には空間があるように表示されていると思います。 日本語漢字を全く知らない人がこの文字を見たとき、読みはできなくとも、画面に表示されているままを紙に真似して書いても、日本人に理解できる文字が書けるはずです。これも「正しい文字で読める」ということです。

最後の文字は 警察 の『警』です。 皆さんご存じの通り、『敬』の下に先ほどの『言』がある文字、と小学6年生で習う漢字ですが、、、このブログを読んでいるほとんどの方の画面上では正しく表示されていないと思います。 漢字を知っている日本人であれば読めますが、先ほどの『言』のように漢字を知らない人が見たままに紙に写し取っても、本当の漢字である 敬+言 を理解できないでしょう。

新聞紙・小説・コミックなど、紙の印刷では『警』はハッキリと 敬+言 という文字構成が理解できる正しい漢字で表記されています。

画面文字は印刷文字とは全く異なり技術・性能上の限界から日本語漢字を正しく表記できません。 私たち日本人は画面上で正しい漢字が表示されていなくとも『なんとか読める・普通に読める』であり、『読めない』ではないです。ですがこれは「正しい文字で読める」ではありません。

世界中の多くの人が知っている画面文字として、ファミコンや、スーパーファミコンの英数字があります。 スーパーマリオとかの『START』『1UP』『SCORE』『WORLD』『GAME OVER』など。 これらの文字はASCII文字と言われ、縦横8ドット(隣と下の文字との空白が含まれるので実際は縦横7)で表示されており、誰でも読め、書き写しても意味の伝わる画面文字です。英字の大小文字、数字、+-*?!$などの記号を含め、英語圏の欧米人が一般生活上で読み書きする文字は画面上で縦横8ドットあれば「正しい文字で読める」を表現できます。

日本語の文字表現では何ドット必要かと言うと、画数の多い複雑な漢字、例えば、全ての門(もんがまえ)の文字を正しく表示しようとするならば、縦横64ドット程度の表示能力が必要かもしれません。。

門閁閂閃閄閅閆閇閈閉閊開閌閍閎閏閐閑閒間閔閕閖閗閘閙閚閛閜閝閞閟閠閡関閣閤閥閦閧閨閩閪閫閬閭閮閯閰閱閲閳閴閵閶閷閸閹閺閻閼閽閾閿闀闁闂闃闄闅闆闇闈闉闊闋闌闍闎闏闐闑闒闓闔闕闖闗闘闙闚闛關闝闞闟闠闡闢闣闤闥闦闧

仮名が多く、複雑な漢字が少ない文章を読むことに限れば、縦横16~24ドット程度でも差し支えないです。
画面上のドット数が多いほど、より正しい文字表示できたり、より沢山の文字を表示できる ということです。

英語圏の欧米人は文章読みに関して、一般的に日本人ほど沢山のドットを必要としません。 Kindle3のドット数(解像度)で、一般的な英文紙書籍とほぼ同じような表現ができます。携帯電話もスマートフォンでないものは、超低解像度だったりします。



story HD, SONY reader PRS-650, amazon Kindle3 ともに、物理画面サイズは同じ対角線6インチの電子ペーパーです。
6インチ=152.4mm
対角線152.4mm = 縦914.4mm x 横121.92mm
(直角三角形 縦:横=4:3 だと斜辺は5)

ということで、縦914mmx横122mmの3機種とも物理画面サイズは共通ですが、その中に表示できるドット数は、SONY reader, amazon kindle3 の600x800に対して、story HDは 768x1024です。 ユーザーが自炊画像表示に利用できるピクセル数は、iriver story HDは768x1024の全ドット・全画面に対して、amazon kindle3 は 560x734、SONY PRS-650 は 584x754です。 (PDFに納めてキレイに表示できる最大画像サイズ)


自炊で小説を画像化して読むとして、新書・文庫本の1ページあたりの字数は、

新潮新書:39文字×14行=546文字
岩波新書:42文字×15行=630文字
文春新書:42文字×16行=672文字
講談社α新書:43文字×16行=688文字

文春文庫:39文字x17行=663文字
集英社文庫:40文字x17行=680文字
幻冬舎文庫:41文字x16行=687文字
新潮文庫:41文字x18行=738文字
角川文庫:42文字x18行=756文字

新書本は縦に39~43文字、横に14~16行。文庫本は縦に39~42文字、横に16~18行ですね。


上下の余白(マージン)や文字間をゼロとして、単純に、角川文庫の縦文字数を自炊画像表示可能領域に敷き詰めたとすると、、

kindle 3
1文字表現に利用可能な縦ドット数 = 734px ÷ 42文字 = 17.47px

SONY PRS650
1文字表現に利用可能な縦ドット数 = 754px ÷ 42文字 = 17.95px

story HD
1文字表現に利用可能な縦ドット数 = 1024px ÷ 42文字 = 24.38px

となり、story HDはkindle3より約7ドットも多い分、先ほどの「警」のような文字もより潰れにくくキレイに表示できます。
また、1ページ50文字x20行 という本は、story HDでは読めても、kindle3では文字が潰れて非常に読みにくいか、全く読めないと思います。

実際には何れの機種も16階調グレースケール(真っ白から真っ黒まで16段階の濃淡)表示できることから、グレースケールに適した自炊画像にすることで、滑らかっぽく表示することもできます。



コミックに関しても、「読める」か「全く読めない」かで言うと、当然作品にもよりますが、kindle3の実質解像度である560x734でも「読める」と思います。しかし、コミック作者は1ページの絵を描くのに数時間~日かけて細かな線を描く努力をされている方もいますので、できれば作者の描いた絵・紙の本により近い精細な表示で楽しみたいですね。



文字数データ参考にさせて頂いた頂きました。

新書一冊分の平均的な文字数を教えてください。 だいたい何文字くらい
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q103290900

出版社別文庫の1Pに入る最大文字数!
http://www5b.biglobe.ne.jp/~to-ga33/mojisuu1.htm


story HDで私が読む際に利用している、ChainLP+青キンフォントで青空文庫テキストを18行画像出力したもの(768x1024) と、それをkindle3実質解像度(560x734)に縮小したもの貼っておきます。自炊利用でなく、テキスト→PDFや、テキスト→画像なら、既に沢山の方がブログでkindle3を紹介しているように普通に読めますね。

iriver story HD用の768x1024のテキスト画像(画像クリックで実サイズ表示)

↑をkindle3の560x734に単純縮小したテキスト画像(画像クリックで実サイズ表示)
(Kindle3での表示は余白が足されるので画像内の余白は少なく出力するほうがよいです。)